書生節、オンラインでリアルタイム鑑賞しました
上方書生節協會「第弐拾六回 今甦る書生節 〜道頓堀ジャズと書生節 其の弐」
事前告知では、
「大正時代道頓堀はジャズで
溢れかえっていた
生き残りを懸けて
ジャズと手をむすんだ書生演歌師が
いた」
と紹介されており、
それがなんのことかは、
聴いてみるまで想像つかず。。。でした。
中入り含めて約2時間のプログラム、曲目組合せの工夫で、あっという間に楽しい時間が終わってしまいました。
演者は、上方書生節協會の皆様、
宮村群時さん(バイオリン、バンジョー)
旭堂南海さん(バイオリン)
桂文五郎さん(バイオリン)
そして客演、吉川裕之さん(クラリネット)
です。
《書生節で頭に浮かぶのは?》
「ハハ、のんきだね」とかを
昔から耳にすることは
ありましたが、
書生節にきちんと触れたのは
二十数年前(たぶん)、
講談の席の中で、旭堂南海さんが
バイオリンを持って唱われたのを
聴いた時でした。
その後、書生節について、
上方書生節協會さんの
おかげで、だんだん親しみが
増してきています。
メロディにのせて、
風刺や意見や物語を
聴いていけるもの、との
勝手な理解です。
でも、書生節の公演を楽しみに
待ちながら、自身の頭に
浮かんできたのは、
なぜか、奄美民謡のメロディです。
奄美民謡「十九の春」、
男性と女性の掛け合いで、
故事を語り重ねていく内容の
ものが
有名かと思います。
(神戸生まれのknasada、
もちろんバタやん版もスキ)
書生節のメロディ繰り返しでの
語りと「十九の春」語りが
頭の中で結びつき、
この1ヶ月ほど、
頭の中は「十九の春」で
いっぱい、でした。
あ、余計な話ばかり、
となってしまい、
失礼。。。
※知らなかったのですが、
書生節の一節が
十九の春の中にも
出てくるそうです。
《オンライン公演》
書生節、前回もオンラインで鑑賞しました。
今回、レディオバルーンさんの配信協力、
だそうで、音声がより高品質になっている
ような気がしました。
約2時間、配信の具合がとてもよく、
スマホでの鑑賞、快適でした。
《上方書生節協會さんの芸風》
書生節当時とは違う時代に
暮らしている自身には
上方書生節協會さんの
書生節がまさにホンモノ、です。
バイオリンの通奏中音(?)に
のせて
唱われる本歌、替え歌、は、
クスリとチクリの繰り返し。。。
宮村さん、ミュージシャンと
思えぬ、
言葉の引っかけ、オチ、が見事、
頼りになるバイオリン通奏、
です。
文五郎さんの歌、うまくて
聴きほれます。
南海さん、長年の書生節歴が
うかがえる落ち着きで、
すれすれギリギリの風刺を
繰り出されていました。
そして、
今回の編成は、
バイオリン🎻と歌、
宮村さんと南海さんのデュオ、
文五郎さんを加えたトリオ、
客演の吉川裕之さん
クラリネットを
加えたクァルテット。
そして、
宮村さんバンジョー🪕と
吉川さんクラリネットの
デュオ、
歌もまじえて、
と多様な演奏でした。

書生節ゆえ
アンダーグラウンドな
中身には触れずに
聞き取った曲名(?)から、
曲の様子を少々。。。
《オペレッタ?》
軽快なリズム、軽やかなメロディ。
歌詞は適度な辛辣さ?
《東雲節》
有名な某サイトなどで
勉強してみますと
1900年ごろに流行ったそうで
端唄や演歌の類のようです。
♬てなこと・・・・かね~♪
で落としてつないでいく感じでしょうか?
ストライキがらみの由来もあった歌?
《籠の鳥》《鳥取春陽》
鳥取春陽という人が大阪での音楽の発展に寄与した、
という事実が、今回の公演のテーマでした。
籠の鳥、鳥取春陽さんのメロディだそうです。
~あいたさみたさに~ ってやつです。
近年(?)では、藤圭子さんの名演が
鬼気迫ってますね。。。
まさに、大正演歌の儚さ??
《It's a long way》
戦いから帰る兵士が、帰り道長いなぁとの
思いを重ねて、の歌であると、説明されていたような。。。
もとは、英国の歌でしょうか?
その故事から、歌詞、郷愁あるもののように思われます。
米国の河の下流か上流か、ジャズ発祥につながる歴史は
通説かたまっていないように思いますが
ディキシーランドジャズにつながっていく息吹が
感じられました。
《TELL ME》
この曲の起こりは、ラグタイムだそうです。
ということは、最初はピアノでの演奏だった?
ラグタイムの起こりやジャズへのつながりは
後述のベーレントさんの本で、かなり読みこんだのですが
今となってはほとんど忘れてしまいました。
近年(40数年前?)では、映画「スティング」のテーマが
有名ですね。
クラリネットとバンジョーの素敵な調べでした。
《讃美歌There is a light on the cross 遠き国や》
1923年 東京での大震災由来の讃美歌だそうです。
この日の講演は、神戸淡路の震災が起きた日付の前日、
ということで、この曲を選ばれたそうです。
神聖な気持ちになりました。
また、近年の各地の震災、災害に深き思いを
寄せた次第です。
近年の例でいうと、神戸の震災の日は、朝、
鹿児島 川内の自宅で、テレビ報道で発生を知りました。
※身内の所在確認程度が発生直後にできる精一杯。
その後、若干落ち着いたころに、現地の某対策本部と連絡を
とりあい、
若干のお手伝い(手話通訳兼道案内)に、鹿児島から
出向きました。
東北の震災は、ジャカルタの事務所で仕事をしているときに
同僚であるインドネシアの方々が、日本が大変なことになっていると
教えてくださり、知りました。
(インドネシアも、地震、噴火、津波、水害、に悩まされる土地、
日本のできごとはひとごとではないそうです)
《すたれもの》
曲は鳥取春陽、詞は野口雨情だそうです。
♬わたしはこのよのすたれもの~♪
《大阪夜曲》
書生節、演歌がジャズにうつっていく過程の説明を
されており、その初期は、ぜんぜんジャズと違うやん、
ということだったと、わかりました
夜曲といえば、服部良一さんの曲、
蘇州夜曲(李香蘭の映画の劇中歌)が
思い浮かびます。
鳥取春陽と服部良一はつながりがあったと
この日の説明で初めて知りました。
《道頓堀の夜の川》
穏やかな流れ、抒情を感じる曲です。
資料もあまり残ってなさそうに思いますが
レコードなどから採譜されたのでしょうか?
すばらしい演奏でした!
《●長の▽》
今、記述してよい用語かどうかわからないので
念のため、伏字にしました。
この故事は実話だと聞いたことがあり、
その舞台は、南洋のミクロネシアだそうです。
この歌は、演歌の流れで、書生節なんですね。
《ニューヨーク行進曲》
見たことないニューヨークを思い浮かべて
つくられた歌だったのでしょうか?
それでも、メロディは洋風になってきており
大阪とジャズのつながりがうかがえてきました。
《ジャズの話》
上記の曲の感想でも触れましたように、
大阪でのジャズの広まり、
書生節からの移行、
当初の大阪ジャズ(?)は、
かなりの広義だったとの説明、
実演、興味深かったです。
公演タイトル説明にある、
生き残りを懸けて
ジャズと手をむすんだ書生演歌師
とは、鳥取春陽という方の
ことだそうです。
鳥取春陽という方のことは
この公演で初めて知りました。
当時のジャズの導入、多様性など
うかがってみて、
考えたこと、思い起こしたこと、
いろいろありました。
(長くなるので省略)
公演の最後のほうで、
ジャズに近寄ってくる音、音、音、
です。
大阪夜曲、道頓堀の夜の川、
ニューヨーク行進曲、
明るかったり、沈んでいたり、
の旋律に引き込まれたり、
滑稽な歌や語りに引きもどされたり、
のスイング(?、ストンプ?=盛り上がりやうねり)に
若干ながら酔わされました。
当時のジャズは新しいもの全ての
飲み込み?
そこに、吉川さんのさりげない解説が
相まって、ラグタイム、ダンス伴奏、
ダンス禁止での音楽が主役転身、
など、変遷が想像できました。
吉川さん演奏のクラリネットの音、
独奏部分はもちろん、間奏、
助奏、にさりげなく、
素敵な音をはさまれていて、
書生節に厚みを加えられて
いました。
※ちなみに
クラリネットの音が
スキです
低い音は閉じていても
高い音に向かって開いていく
感じが
他の木管よりも
はっきりしているのが、
スキな理由です
《ジャズ発祥?》
中学生のころ、わからぬまま
必死で読み込んだ、
ヨアヒム・E・ベーレントさんの
「ジャズ」という本(油井正一さんの訳)、
発祥地がひとつではなく、
新大陸内の各地で類似の音が
始まっていた、とか、
ラグタイムからの流れとか、
クレオール(クリオール)文化や気質との
関係とか、混沌からの形成の様子が
書かれていたと記憶。。。
この本を実家で発掘できてなかったと
思うので、最近、油井正一さんの
著作を買って読み進めているところです。
書生節、これからも公演いろいろあると思いますので、ぜひご一聴を、と存じます。
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